『地域共生社会』について

今回のハーウィルシニアレジデンス通信は『地域共生社会』についてご紹介いたします

 

厚生労働省は、2016年10月から10回にわたり「地域における住民主体の課題解決力強化・相談支援体制のあり方に関する検討会」を開催してきました。

 

この検討会は、「地域共生社会」の実現に向けて、地域社会が具体的にどのような体制づくりを目指していくべきかをテーマとしたものです。その最終とりまとめが、2017年9月に公表されています。

この「地域共生社会」とは、「(さまざまな社会的支援に関して)支え手側と受け手側に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、福祉などの地域の公的サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる仕組みを構築する」というものです。

 

厚生労働省が『地域共存社会』を推進するのには、以下の大きな3つの理由があります

①高齢化や人口減少が進み、地域・家庭・職場という人々の生活領域における支え合いの基盤が弱まってきています。暮らしにおける人と人とのつながりが弱まる中、これを再構築することで、人生における様々な困難に直面した場合でも、誰もが役割を持ち、お互いが配慮し存在を認め合い、そして時に支え合うことで、孤立せずにその人らしい生活を送ることができるような社会をつくるため。

 

②人口減少の波は、多くの地域社会で社会経済の担い手の減少を招き、それを背景に、耕作放棄地や、空き家、商店街の空き店舗など、様々な課題が顕在化しています。地域社会の存続への危機感が生まれる中、人口減少を乗り越えていく上で、社会保障や産業などの領域を超えてつながり、地域社会全体を支えていくことが重要なため。

 

③さらに、対象者別・機能別に整備された公的支援についても、個人や世帯単位で複数分野の課題を抱え、複合的な支援を必要とするといった状況がみられ、公的な支援だけでは対応が困難なケースが浮き彫りとなっています。

 

地域で主体的に形成されている町内会・商工会などの会議や集いの場、サロン等を見つけ出し、そこにつながりながら地域課題(一人暮らし高齢者の生活や一人親家庭の子育てに関する困りごとなど)を把握したり、地域活動に取り組む人材発掘などを行うことを出発点としています。

 

その上で、地域住民の身近に(地域課題を「我が事」としてとらえてもらうための)「触媒」となるソーシャルワーク機能の必要性をあげる。具体的には、2018年4月から全市町村に配置される生活支援コーディネーターの活用がスタートしています。
いずれにしても、地域における社会支援のあり方が大きく変わっていくことになる。ただし、地域によって行政職員の考え方や住民の意識に差がある中、国の責任で格差を解消していくことができるのかどうか、取りまとめを受けての国の具体的な施策に注目したいですね。