平成28年8月23日開催シンポジウム「住環境と健康」 於:東京大学

今回のシニアレジデンス通信は、平成28年8月23日(火)に東京大学医学部2号館本館で行われたシンポジウムの報告です。
このシンポジウムは、全国公衆衛生関連学協会連絡協議会(全公連)が「住環境と健康」というテーマで開催したものです。
家屋の構造・室内環境は、災害による人身被害、高齢者介護、健康増員・疾病予防などと関連する公衆衛生上の重要な問題であり、全公連としてこれから力らを入れて取り組んで行く、その第一回目で、

第一部 高橋龍太郎氏(東京都健康長寿医療センター研究所 前副所長)
「人は住まいとともに生き、老いる」

第二部 伊香賀俊治氏(慶應義塾大学教授・理工学部システムデザイン工学科主任)
「住環境が居住者の血圧・活動量・睡眠に及ぼす影響に関する実測調査」

上記の2つの講演が行われました。

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第一部では、まず入浴中の急死についての調査結果が発表されたました。

2000年(平成12年)の「溺死を含む入浴中の急死者数」の推計値が全国でなんと「14,000人」もいて、その8割が高齢者だったそうです。
そしてその多くが12月、1月を中心とした冬期に集中していました。
この数は、国際的に比較して世界で一番多く、特に75歳以上の高齢者の割合はワースト2位のリトアニアと比較しても3倍以上もの数でした。

入浴中の急死の主因は、急激な血圧低下に伴う意識障害や失神で、その原因としては、入浴習慣が根付いている事や戸建住宅の断熱性能の
レベルが低い事など、文化、社会、自然、医学、建築学等の観点からいくつも挙げることが出来るそうです。

そして、平成23年から、住宅の断熱改修が健康に及ぼす影響を調査するため「健康長寿住宅エビデンス取得委員会」を立ち上げ活動を行った報告が行われました。

この調査は、埼玉県、東京都内の築20年以上の戸建て住宅にお住いの60歳以上の自立者(39棟)を対象に、住宅の断熱改修後の健康状態などを4年間かけて調べた調査です。
その結果、

・明け方の室内の最低気温が平均1.4度も上昇
・血圧の低下
・精神的健康度の改善
・睡眠の質の向上
・アレルギー症状の改善

などの結果が見られました。

第二部では、住宅内の寒さによる健康リスクについての講演が行われました。
日本国内ではあまり取り上げられていませんが、イギリスでは「Winter Kills」と名付けられて、国が冬の寒さによる健康被害を防ぐための計画を立てている程室温について重要視されているそうです。
また、日本でも欧州でも温暖な地域ほど冬季の死亡率が増大する、という驚きのデータも報告されました。

寒冷な地域では高断熱住宅が普及していて、普及率が高い地域ほど冬季の死亡率が少ない事から、住宅内の温度を一定以上に保つ必要があると結論づけられました。
イギリスでは、室内温度を18度以下にしてはいけないという法律がある位だそうです。

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室温が10度下がる事で、起床時の血圧が3.8㎜上昇することや、身体認知機能を低下させる調査結果も報告されたました。

暖かい住宅に住むことで、認知機能の低下確率が4分の1になったり、健康寿命が4年延びるなど高断熱の住宅に住む事は健康面で非常に良い影響がある事が報告されました。

今まで住宅には、「安さ」が求められる事が多くありましたが、これからは断熱性能にコストをかける事によって、結果的に将来の医療費や介護費の抑制につながる可能性がある事が報告されました。

国も、「スマートウェルネス住宅推進事業」と称して住宅の断熱改修工事への補助金制度を創設したり全面的に後押ししているおり、サービス付き高齢者向け住宅「ハーウィルシニアレジデンス」もこの「スマートウェルネス住宅推進事業」に採択された事業のの一つです。
ご入居者の皆様からも「カゼをひかなくなった」「冬でも暖かく過ごせる」などとご好評を頂いております。

間もなく寒い冬がやってまいります。ご自宅での暮らしにご不安がある方はもちろん高齢期の健康的な暮らしにご興味がある方は是非お近くの「ハーウィルシニアレジデンス」にお問い合わせ下さい。